ホーム > ブログ > 地産地消 > 地産地消応援店舗(飲食店) > 地産地消応援店舗取材「杉・五兵衛」

地産地消応援店舗取材「杉・五兵衛」

自然が育む力強い野菜に舌鼓“百姓の郷” 杉・五兵衛

 

今回ご紹介するのは、枚方市に5~6haもの巨大な敷地をもつ「杉・五兵衛」です。広大な敷地は甲子園球場約2つ分。見渡す限り畑や竹林が広がり、体いっぱいに自然を感じることができます。

 

園内を歩けば、季節の草花があちこちに。“自然を生かし、自然に生かされる、百姓の郷”をコンセプトに、澄んだ空気の中で実った野菜を調理し提供しています。

03_11-016_R.jpg

 

店の開業は約50年前。古くからこの地で農業を営む園主・の(のは田又に土)島五兵衛氏が、農地で育ったさつまいもを“芋ほり体験”として一般公開し、収穫物を芋粥としてふるまったのが始まりです。

 

店舗は昔の代官屋敷の木材を使っており、瓦には安土桃山時代の年号も。歴史の重みを感じさせる情緒ある佇まいです。

03_11-039_R.jpg

 

店内に入ると、昔ながらの日本家屋の奥ゆかしい雰囲気が漂います。

03_11-080_R.jpg

03_11-079_R.jpg03_11-081_R.jpg

 

屋敷の中には、さまざまな部屋が用意され、一度に70名もの人が集まれる大部屋をはじめ、窓辺の風景を眺めながら食事を楽しめる部屋も。

03_11-094_R.jpg03_11-098_R.jpg

 

 

また、さまざまな趣向を凝らした個室が用意されています。

03_11-089_R.jpg

 

建物の四方は、緑豊かな環境。モクレン、桜、菖蒲……と四季折々の風景が窓辺を彩るそう。自然の美しさが、特別な空間を演出してくれます。

03_11-082_R.jpg

 

室内にある調度品も趣のあるものばかり。食事だけでなく、結納や法事の際にも活用されるそうです。

03_11-083_R.jpg

 

代官屋敷だけでなく、酒蔵の木材も用いているため、なかには当時の備品をそのまま内装に生かした部屋も。こちらは円卓を囲み、酒樽を椅子に用いた「酒樽の間」です。

03_11-085_R.jpg

 

 

園内には菜の花、キャベツ、白菜、たまねぎ、蓮根……など、200種以上の野菜が栽培されています。

03_11-003_R.jpg

03_11-011_R.jpg

 

取材に訪れた春の時期は、若ごぼうが旬を迎えていました。

 03_11-024_R.jpg

 

 

週末ともなれば、家族連れのお客さんで賑わうそう。親子三代で店を訪れる人や、子どもの頃から足しげく通う常連さんも。食事だけでなく、広大な園内を散策できるのも同店の魅力の一つです。

03_11-030_R.jpg

 

 

園内では、野菜だけでなく、米やしいたけも栽培しています。こちらは原木しいたけの栽培風景。

03_11-018_R.jpg

しいたけは多くの場合、菌床栽培されますが、同店ではしいたけの原木にドリルで穴をあけ菌糸を培養しています。スタッフの元田さんによると、「湿度、温度を管理しながら日陰で栽培すれば春と秋に収穫できます。野生のしいたけと同じ環境で育つので、肉厚で味の良いものが育つんです」とのこと。たしかに、しっかりとした厚みは、市販のものとは比べ物になりません。

03_11-017_R.jpg

 

また、四季を通じて農業体験も。この時期開催される「苺の食農体験」は、苺の栽培について学ぶことができます。

03_11-036_R.jpg

ビニールハウスの中に一歩踏み入れるだけで、甘い香りに包まれます。採れたての苺は甘酸っぱくて味が濃く、みずみずしさがたまりません。

03_11-037_R.jpg

 

春色の味覚が詰まった豪華な絶品会席それでは、さっそくいただきましょう。

当園ではさまざまな会席料理を提供していますが、今回ご紹介するのは「農園会席」5,000円(税込み)。盆に盛られた豪華な料理を楽しみつつ、前菜、ご飯、デザートまでついたコースを個室でゆったりと味わえます。

 03_11-056_R.jpg

 03_11-076_R.jpg

「料理は、基本的に園内で採れる食材を使います。献立によって野菜を収穫するというよりは、収穫できたものを見て献立を決めるというスタイル。自ずと旬の食材が並ぶことになります」と語るのは、野菜ソムリエジュニアマイスターの資格をもつスタッフの元田さん。

また、食材を使うだけでなく、調理や盛り付けの面でも季節感を大切にしているとか。たしかにこの日も、料理にあしらわれたマメザクラの花が春らしい、たおやかな雰囲気を演出してくれます。

 03_11-066_R.jpg

 

会席を通して、煮る、炊く、焼く、揚げるなど、多彩な調理法が用いられています。

まずは「筍の木の芽和え」です。こちらも、もちろん園内の竹藪で栽培されたもの。普段から竹の根元に藁を敷き、粘土質の土を入れるなど丁寧に手入れしているため、生でも食べられるほどやわらかく、さわやかな食感です。これからの時期は、炭火焼きにして調理されるそう。同じ食材でも、時期によって趣向を凝らした調理法で楽しませてくれます。

 

隣には、つくしと菜の花のお寿司、じんわりダシが香る蓮根が添えられています。

 03_11-061_R.jpg

 

続いては、小芋と白ねぎ、しいたけ、菜の花の炊き合わせです。

この小芋は当園の開業前から何十年も変わらず栽培されている品種です。毎年、大切に種芋を保管しながら栽培を続けているそう。肉質が柔らかく、ほっくりとした食感で、自家製の味噌とも好相性。煮炊き料理にぴったりの食材です。

 03_11-059_R.jpg

そして、ブロッコリーと菊芋、紫芋の温野菜。

菊芋は世界三大健康野菜の一つで、中に含まれるイヌリンという成分が先に吸収されるため、他の余分な糖質の吸収を防いでくれると言われています。蒸し料理のようなシンプルな調理法だけでなく、揚げたり味噌汁にしたりしても美味。おいしく、しかもヘルシーという万能な食材なのです。大根のようにシャキシャキとした爽やかな食感で、塩麹を使ったドレッシングをかけるとさらにおいしくいただけます。

 03_11-060_R.jpg

 

続いては、揚げもの。

まず一番に目に入る緑色の葉は、若ごぼう。なんと葉から根までまるごと揚げているのです。

元田さん曰く「若ごぼうは葉にルチンという栄養素が含まれ、脳の血流を良くし、血栓を防いでくれる効果があります」。ザックリと心地よい衣の食感とともに、若ごぼう独特のほろ苦さが口の中にふんわり。米油で揚げているため食べやすくマイルドな味わいです。

 

その左隣は、蓮根で作ったお餅・蓮根まんじゅう。つなぎを入れなくても、蓮根だけで十分モッチリした食感があります。実はこれが、新鮮さの証。もともと蓮根は黒ずみやすい性質のため、市販されているものの中には漂白されパサパサとした食感になっているものもあるとか。採れたてを調理できる同園ならではのおいしさです。

それともう一つ、このモッチリ感の秘密は部位を厳選しているからだそう。ご存知の方も多いと思いますが、蓮根は根から3節が連なって育ちます。3節ともそれぞれ食感が異なり、根元に近い節ほどホクホクし、遠い節ほどシャキシャキとしています。今回のモッチリ感を出すには、根元に最も近い節を選ぶのがベスト。普段、店で購入する際にはこういった選別をすることは非常に難しいですが、当園なら敷地内で栽培しているため料理に合わせて必要な部位を使い分けることができます。これも、当園ならではの魅力と言えるでしょう。

 

次に、蓮根まんじゅうの左隣にある茶色い野菜は、菊芋と同じく世界三大健康野菜の一つ・ヤーコンです。一食の中に、世界三大健康野菜が二つも含まれているのですから、当園の料理がいかに健康的かということが分かります。

ヤーコンはなかなか市場に出回らないのでご存知ない方も多いと思いますが、梨のようなシャキシャキとした食感。ポリフェノールを豊富に含み細胞の若返りを助けてくれます。

 03_11-063_R.jpg

 

 

最後は、蓮根とホウレン草の白和えです。

自家製豆腐に、金ゴマをたっぷりと和えてあり、口に入れた瞬間ゴマの芳醇な風味が広がります。丁寧に調理され、なめらかな口当たりと、蓮根の心地よい食感がたまりません。

 

無農薬でおいしい野菜を収穫できる魔法の仕組み

当園の野菜は、一貫して無農薬栽培してます。農薬を使わなくてもここまでおいしい野菜を収穫できる理由は、園内で飼育するロバやウサギ、ヤギたちのおかげ。彼らが、畑で出る雑草を食べ、農作業の一端を担ってくれるのです。

 03_11-033_R.jpg

03_11-025_R.jpg

ロバやウサギが雑草を食べて排出した糞は、こちらの堆肥場で発酵させます。しかし、不思議なことに全く糞の臭いがしません。

元田さんに伺うと、

「発酵しているからです。味噌やヨーグルトといった発酵食品が臭くないのと一緒。当園のロバの糞にも、乳酸菌や酵母といった有用な微生物がたくさんいるため集めておくだけで自然と発酵します。

その後、できた堆肥は、米のもみ殻を発酵させたぼかし肥料とともに畑へ。これによって土が健康になり、おいしい野菜が育つ原動力になってくれるのです。だから、農薬は一切不要。普段食事に気を付けて健康な体を維持している人が薬を必要としないのと同じことです。逆に化学肥料を使えば、それを吸収した野菜が育つわけですから、かえってえぐみが出たり、辛みが出たりすることさえあります。

動物たちがいることで、雑草が堆肥に生まれ変わり、安全安心な野菜が育つのですから、彼らもうちの大切なスタッフです」と答えてくれました。

 

 

地元で育った野菜を食べることはその土地で暮らすための力を身につけること

自然の循環の中で、農薬を使わずおいしい野菜を栽培する当園は、自給自足の理想を体現しています。

「自分たちで育てたものを食べていると、自ずと季節のものを口にすることになります。当園の園主はよく、『野生動物が健康なのは、その季節に生えている植物を食べるからだ』と言っています。例えば、ソラマメは秋に植え春に収穫しますが、冬の間は自らの水分を抜き凍らないよう工夫して寒さを凌ぐのです。こうして実った野菜を食べるということは、その地域、その気候に順応した野菜の能力を取り入れることになります。だから、野生動物は寒い冬でも元気に外を走り回ることができるのです。自給自足、ひいては地産地消の一番のメリットではないでしょうか」

 

大阪で暮らす私たちは、やはり大阪の土地で育った野菜を食べることが最も体に合っているということ。ぜひ、大阪の大地で育った野菜を食べに同園に足を運んでみてください。園内ののどかな田園風景、咲き誇る花々の様子もきっと心に栄養を与えてくれるはずです。

 

 


【杉・五兵衛】

03_11-039_R.jpg

住所:大阪府枚方市杉責谷1-951

電話番号:072-858-0070

アクセス:JR学研都市線 長尾駅よりタクシー10分または徒歩30分、または京阪枚方市駅から京阪バス穂谷行杉バス停下車 徒歩10分

営業時間:11:00~19:00(最終入園L.O.17 :30)

定休日:火曜

総席数:200席

WEBサイト:https://sugigohei.com/

※予約優先

 

著者プロフィール

著者アイコン
ベジデコラボ事務局(㈱NKB)
農業から大阪を元気に。生産者と企業をつなげる地産地消プロジェクト「ベジデコラボ」。大阪産野菜を通じて様々なコラボレーションを展開しています。

関連記事