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【コラボde対談】野菜本来のおいしさに、「キムチ」という付加価値をのせて

(プロフィール)

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◆高麗食品

黄成守(ふぁん・そんす)さん

創業以来約50年、3代に亘ってキムチの製造と韓国食品の販売に勤しむ。数ある商品のなかでも「黄(ファン)さんの手造りキムチ」は白菜、大根、キュウリといった定番商品に加え、ゴボウ、レンコン、山芋などの変わり種を含む計50種の豊富なラインナップ。大手スーパーをはじめ量販店でも人気を集める。

 

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◆ひらかた独歩ふぁーむ

大島哲平(おおしま・てっぺい)さん

2007年、自ら新規就農を志しワーキングホリデーでオーストラリアに2年間滞在。帰国し兵庫県丹波市などで研修を受けた後、2015年から大阪府枚方市にて独立就農。「ひらかた独歩ふぁーむ」の名称で、BLOF理論※に基づき、科学的根拠のある有機栽培を行う。耕地面積は約0.8ha、約40種の野菜を栽培する。

 

※1 BLOF理論…BLOFとはBio Logical Farmingの訳で、和名は頭文字をとったもの、日本語にすると生態系調和型農業理論(外国起源の農法ではなく、小祝政明氏が名付けた農業理論)。科学的・論理的な有機栽培によって、味が良く栄養価の高い野菜をたくさん収穫することを目指す。

 

 

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きっかけは「食の都・大阪」の企業であることをアピールするため

黄さん:当社は祖母の代から手作りキムチを販売し、大阪の地で商売を続けてきました。ただ残念なことに、これまで他府県の野菜を使うことが多く、大阪産の農産物の商品は一つもありませんでした。古くから“天下の台所”と呼ばれる大阪は、現在もおいしい食材がたくさんあります。「せっかくなら地元の食材を使い、食の都・大阪の企業であることをもっとアピールしたい!」と考え、最近は積極的に大阪産野菜を使うようにしています。「ひらかた独歩ふぁーむ」の大島さんのことは、JA大阪中央会 大阪農業振興サポートセンターが運営する「お野菜さん.com」の記事を読んで知り、ぜひご協力いただきたいと考えました。

大島さん:最初来て下さった時に渡した私の野菜をすぐにキムチにして送って頂いて、その手作りキムチが本当においしかったんです。この方なら信頼できると思いました。

黄さん:私も大島さんの農園を訪ね、有機栽培のお話を聞いたとき、こんなに丁寧に栽培されている農家さんがおられるなら、もっと早く大阪産野菜を使用すればよかったと思いました。

大島さん:うちは就農以来、BLOF理論に基づいた有機栽培を行っています。収穫後は土壌分析し、ミネラル、例えばカルシウム、マグネシウム、鉄、マンガンなどの養分を過不足なく供給し、きちっと施肥設計しています。また、除草に関しても土を透明ビニルで蒸し込み雑草を抑え、作物が土の中の栄養分を無駄なく吸収できるよう対策しています。生産だけを考えれば農薬を使う慣行栽培の方が効率的で楽かもしれませんが、畑がある里山の生態系も含めて持続的な農業を探求したいと考えています。科学的な有機栽培によっておいしい野菜をたくさん栽培すること。そうすれば、高価なイメージの強い有機野菜をより買い求めやすい金額で販売することができると考えています。

 

 

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大根や白菜、キュウリにはない、小松菜ならではのキムチを

大島さん:今回、キムチ用の野菜ということで小松菜をご提案しました。小松菜なら、通年栽培しているため時期を問わず安定供給できますから。

黄さん:野菜の中でも、キムチに向いている野菜と、そうでない野菜があります。ニンジンやカボチャのような硬い根菜類は、加熱しないと味が染み込みにくいので、キムチには向きません。また、キノコのように加熱処理してしまうと食感が悪くなるものも向いていません。葉物野菜なら全般的に向いているので、小松菜を勧めていただいた時に「これならいける」と直感しました。何より、私自身が「食べてみたい!」と魅かれたことが決定打でした。

大島さん:野菜にも、向き不向きがあるんですね。

黄さん:はい、新商品を作る時は、「キムチにすることでよりおいしくなる食材」を意識しています。例えば「イチゴのキムチ」を作ったら、珍しくて目を引くかもしれませんが、キムチの辛みがイチゴ本来のおいしさを邪魔してしまいます。「キムチ」という私たちの付加価値をつけることで、野菜がよりおいしくなり、お客様に価値を感じてもらえることが絶対条件です。その点、小松菜はピッタリでした。

大島さん:たしかに、小松菜は生のままでは苦くて食べにくいですが、キムチにすると苦みがかえって良いアクセントになりますね。軸の部分も塩漬けにするとシャキシャキして、ほどよい食感。完成品を送っていただいた際、我が家でも大好評で、漬物が苦手なうちの妻も喜んで食べていました。

黄さん:キュウリ、大根、白菜といった一般的なキムチは、野菜自体が素朴な味なのでヤンニョンという香辛料がよく合います。一方、小松菜の場合は、独特の苦みを生かすため、ダシを多めに入れたり、普段キムチに使うことのないみりんを加えたり……1カ月ほど試行錯誤し、ようやく完成に至りました。万人受けするキュウリキムチを入門編とするなら、大根や白菜キムチは中級編、今回の小松菜は上級編として通の方にお勧めしています。普段からキムチを食べ慣れている人からすれば、小松菜の苦みが新鮮にうつるんですよ。

 

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地産地消によって生まれた双方のメリット

大島さん:小松菜の調理法については、以前から私もいろいろ試してきましたが、キムチというアイデアは浮かびませんでした。黄さんに新しい魅力を発見してもらいありがたいです。しかも、プロの手によって丹念に手作りされ、本格的な味に仕上げてもらえるのですから、なおのこと。この商品は、私たち農家も自信を持っておすすめすることができます。

黄さん:他府県に比べ、大阪は都市近郊農業なので、輸送にかかる時間を抑え、とれたての野菜を手に入れることができます。特に葉物野菜の場合、時間の経過とともに味の落ちが早いことから、鮮度の良い状態で届くのは非常にありがたいこと。今回、大島さんのところの野菜を提供いただき、大阪産野菜の良さ、地産地消の魅力がよくわかりました。

大島さん:私にとっても生鮮野菜を出荷するだけでなく、「加工」という選択肢が増えたことは大きなメリットでした。生鮮野菜の場合、販売用の既定の袋からはみだすと店頭に並べてもらえないため、やや小ぶりの状態で出荷しなければいけません。しかし本来、小松菜はある程度大きく育った方が、葉の部分に旨みと甘みが詰まっておいしいんです。流通や売場の規格に合わないという理由で、食べて頂くことができなかったものが、加工用としてその良さを活かして頂けることはとても嬉しいです。

黄さん:そうでしたか。我々加工業者にとっても歩留まりは気になるところ。大きくおいしい野菜を届けていただけるのはありがたいです。

 

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コラボ商品を通して、お互いの認知度UPを目指す

黄さん:この小松菜キムチは今年の春先、めでたく「大阪産(もん)」に認定していただきました。また第二弾として、イタリアントマトのキムチを秋限定商品で販売することになっており、こちらも現在「大阪産(もん)」に申請中です。

大島さん:イタリアントマトは生食だけでなく調理加工しても非常においしい野菜です。しかし市場では、どうしても生食のイメージが強いよう。なんとか加工の魅力を伝えたいと思案していたので、黄さんのおかげで願いが叶いました。

黄さん:当社としても季節限定商品に使う秋野菜を探していたので、8月下旬から11月中下旬まで収穫できるイタリアントマトが見つかりちょうどよかったです。私は、このコラボレーションをきっかけに大阪産野菜をもっと積極的に使いたいと考え、現在、羽曳野市のイチジク農家さんとも新商品の開発を進めています。市場を見ると、まだまだ大阪産野菜を使ったキムチは珍しい様子。ラインナップが増えることで他社との差別化になり当社のブランド力の向上につながると期待しています。今後は、大阪産野菜を使用していることや、生産者の大島さんのことをもっと消費者にアピールし、商品の認知度を高めていきたいです。

大島さん:それは私たち農家にとっても、自分たちの野菜を消費者に知ってもらえるチャンスです。大阪の場合、耕作面積が小さく一種類の野菜を大量に栽培できないため、一大生産地になることはできません。そうすると知名度が低くなり、消費者に受け入れられにくくなってしまうのです。今回のように、加工という手段でPRできれば、認知度が高まり野菜自体の価値もそれだけ高めることができます。いまや生産農家も自ら野菜の良さを情報発信しないと生き残れない時代。その意味で、今回のコラボレーションは良い一歩が踏み出せたと思っています。今後も良きパートナーとして、Win-Winな関係を築いていきましょう。


◆大阪農産物を活用したコラボ事例集◆

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